第107回 夏の甲子園を席巻し全国優勝を成し遂げた沖縄尚学。
その中でも特に印象に残ったのがヒヤミカチ節による応援と最後まで諦めないチームの姿勢でした。
甲子園の沖縄代表といえばハイサイおじさんや指笛による応援が有名です。
僕も沖縄の民謡やイーヤーサーサーの掛け声は甲子園の応援がきっかけで知りました。
そんな中、2025年の沖縄尚学の応援ではあまり聞き馴染みのない沖縄民謡が応援に使われていました。
(実のところ興南高校も甲子園の応援で今まで歌っていたようですが、全然気が付きませんでした。)
調べてみたところそれはヒヤミカチ節という曲で、6番打者の宜野座くん(準決勝 決勝は4番)の固定の応援歌とされているようでした。そしてその宜野座くんはこの大会、あらゆる場面で打ちまくり甲子園優勝の立役者(Mr.ヒヤミカチ節)となるのでした。
ヒヤ!ヒヤ!ヒヤヒヤヒヤ!と叫ぶパートが特徴的ですが、その他の歌詞も調べてみました。
作詞 平良新助
名に立ちゅる沖縄 宝島でむぬ
心うち合わち う立ちみそり う立ちみそり
ヒヤ ヒヤ ヒヤヒヤヒヤ
ヒヤミカチうきり ヒヤミカチうきり
稲粟ぬ稔り 弥勒世ぬ印
心うち合わち 気張いみそり 気張いみそり
ヒヤ ヒヤ ヒヤヒヤヒヤ
ヒヤミカチうきり ヒヤミカチうきり
七転び転でぃ ヒヤミカチ起きり
我した くぬ沖縄 世界に知らさ 世界に知らさ
ヒヤ ヒヤ ヒヤヒヤヒヤ
ヒヤミカチうきり ヒヤミカチうきり
ヒヤ ヒヤ ヒヤヒヤヒヤ
ヒヤミカチうきり ヒヤミカチうきり
沖縄民謡なので当然ですが、全体的にうちなーぐちなので現代語訳してみます。
名高い沖縄という宝の島よ。
心を一つにして、さあ立ち上がろう。
稲や粟が実ることは、
平和な世(弥勒の世)が来るしるし。
心を合わせて頑張ろう。
さあ、頑張ろう。
何度転んでも、気合いで立ち上がれ。
私たちのこの沖縄を世界に知らせよう、世界に知らしめよう。
ヒヤミカチという言葉には「頑張ろう」「立ち上がろう」という意味があり、特徴的な掛け声の「ヒヤ ヒヤ ヒヤヒヤヒヤ」の部分は「えぃ!」や「それ!」といった奮い立たせる意味合いがあるようです。
一見するとポジティブな明るい曲のように見えますが、この曲が歌われるようになったのは沖縄戦から間もない1948年。
作詞者の平良新助は、まだ戦争の傷跡が生々しく残る沖縄を励ますべくこの歌を作ったと言われています。
(ちなみにヒヤミカチ節は現在のゆいレールの終点「てだこ浦西駅」の発車メロディにも採用されています。)
2025年の沖縄尚学は名勝負の連続でしたが、とくに印象に残っているのは準決勝 優勝候補の呼び声高い山梨学院との一戦です。
5回 1-1の同点で1アウト満塁のピンチ。
エース末吉くんがサードゴロに打ち取りゲッツーかと思いきや、イレギュラーにより不運な形で3-1となってしまいます。
次の回には自らのエラーにより失点し4-1。
その後も味方のミスでピンチが広がり、ツーアウト目を取ったところで同じ2年生の新垣くんに投手交代となったのですが、エース末吉くんはこの場面で落ち込んだりすることなく、2番手新垣くんの背中をポーンと叩いて颯爽とマウンドを降りたのでした。

イレギュラーやエラーで失点が重なった後、平常心を保ったまま次の投手を明るく送り出すなんてなかなかできることではありません。エース末吉くんの末恐ろしさを感じたシーンでした。
その後、2番手の新垣くんは後続をしっかり抑え、迎えた裏の攻撃。
先頭バッター 俺たちの宜野座くん(Mr.ヒヤミカチ節)がヒヤミカチ節に想いを乗せツーベースヒットをぶちかまします。
その後も連打と相手のエラーであっという間に4-4の同点に戻しました。
そして7回の裏にはまたしても俺たちの宜野座くん(Mr.ヒヤミカチ節)。
ヒヤミカチ節に想いを乗せフェンス直撃の三塁打をぶちかまします。
その後、逆転のホームを踏み沖縄尚学は4-5と試合をひっくり返しました。
エース末吉くんから背中をぶっ叩かれた2番手の新垣くんはその後の山梨学院打線を完璧に抑え、そのまま沖縄尚学が4-5で勝利。
よく野球には流れがあるといいますが、この試合は運もツキも前半までは完全に山梨学院でした。
そんな中、最後まで諦めずに希望を持ち続けた沖縄尚学の試合運びはまさに「七転び転でぃ ヒヤミカチ起きり」そのものだったと言えるでしょう。
この他にも仙台育英戦、抜けたらサヨナラ負けの局面でのスーパーキャッチなど、苦しくても何度でも立ち上がる沖縄尚学のヒヤミカチ野球に幾度となく心を震わされました。
名勝負に次ぐ名勝負。この先、何度も振り返るであろう最高の夏となりました。ありがとう、沖尚。
さて、2026年の選抜甲子園にも出場が決まっている沖縄尚学ですが、今度は優勝校としてのプレッシャーが重くのしかかって来るかと思います。
いつも通り、自分たちの野球で楽しく試合ができることを願っています。
文責 DJ Hato

